シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
あたしだって夢はあった。
久遠のお嫁さんになって幸せな未来を心に描いていた。
所詮子供特有の、単純で浅はかな夢。
恋だの愛だの…そんな純なる想いがなくとも、
こんな行為に及ぶ久遠が…哀しく思ってしまった。
久遠、凜ちゃんが好きなんでしょう?
嫌いなあたしにこんなことが出来る男なの?
身体に興味が持てば、男って皆そうなの?
「久遠…」
掠れた声が、名前を口にした。
「何?」
やはり掠れきったその声に、
あたしの目から一筋涙が零れた。
「あたしはね…
初恋は、久遠だったんだよ?」
初恋は、穢したくない。
間近にあった紅紫色の瞳が、
すうっと細められた。
「初恋は実らない」
震えているのは…あたしへの嘲り?
「だけど…叶えてやるよ、せり。
今、此の場だけ」
初恋は…永遠じゃない。
初恋は…運命じゃない。
神聖なものなんかじゃない。
「その初恋は…オレのものだ」
迫り来る紅紫色。
――…ちゃああん!!!
もう…駄目だ。
あたしはぎゅっと目を瞑った。
瞑った目から、涙が頬に伝わる。
耳に聞こえる衣擦れの音。
――…ちゃああん!!!
頬に添えられる、久遠の手。
そして――。