シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

12年間の想いをかけて、

俺は芹霞の記憶を目覚めさせたい。


このまま、忘れ去られたまま…

お前に獲られたくないんだよ。


だから――男に戻る。


俺もお前も、真剣な…本気の賭け。


お前が"お試し"に賭けているように、

俺だって男に戻ることに賭けている。


このまま、忘れ去られたくないんだ。


俺は紫堂櫂。

凛じゃない。



「……うぁ……あ…」


先刻よりも声は出るようになってきた。


無理に声帯を使っては、また声が出なくなる。

ならば今は声を潜めて。


言葉に出さないと伝わらないから。


言葉に…俺の心を込めて放とう。



「せり…か…」



触れたい。

口づけたい。


芹霞を胸に抱いて、その温もりを感じながら…想いを通い合わすことが出来たら。


だけど居ない。

俺の胸の中には、腕の中には。


何処にも、芹霞は居ない。



芹霞。

芹霞。


心が壊れそうだ。



――紫堂櫂を愛してる!!!



ああ、時が戻ってくれたのなら!!!


あの瞬間が永遠になれば!!

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