シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「ああ、どうしよう…お口がむずむずしてきちゃった」
「――…させぬ。
その口、叩き斬るまで」
その姿は…
煌に偃月刀を突きつけた芹霞さんの姿を彷彿させた。
「やだなあ、何怖い顔をしているのさ。"もしも"の話じゃないか。『気高き獅子』が生きていようが死んでいようが、この件に関しては皇城はノータッチ。そういう…ルールは破る気はないよ? 周涅ちゃんだって罰則(ペナルティ)食らいたくないもの」
くつくつ、くつくつ。
偃月刀の刃先が――
「よく喋る口だ。置かれている立場を判っていないと見える」
周涅の首の表皮を裂いた。
つつつ、と赤い線が現われた。
「ねえ紅皇。颯爽と登場した所悪いけどさ、立場判っていないのは…君の方だ。逃げ切れると思っているの?」
両手を挙げて降参のポーズを取りながら、その顔は嬲って遊ぶことを生き甲斐にしているような…根っからの加虐趣味(サディスト)の残忍な顔。
「君の出現を…見越していないとでも思ってた? 周涅ちゃんも、"あの人"も」
"あの人"?
「此処には、周涅ちゃんに敵わない雑魚が沢山。朱ちゃんだって力が戻って無くてまだふらふらだ。仮に紅皇が周涅ちゃんを抑えても…他の皆はどうなるかな」
伏兵が…いるというのか?
「だったらさ、紫茉ちゃんと朱ちゃん置いて此処から出た方が、得策だと思うけど?」
何処に…隠れていると言うんだ?
「私が…何故此の場に来ることが出来たのか、お前は判って居ないようだ」
緋狭様が笑うと同時…
じゃり。
後で音がして。
「毎度おおきに、周涅はん~」
そこに現われたのは、シルクハットに半纏姿の…情報屋聖だった。