シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「そうかそうか~。利き腕を捧げてまで先物買いした愛弟子の胸を貫いたのが、そこまで応えたんだ~?」
怒る所か…軽口となった周涅。
凄く、嫌な予感がした。
「そして手塩にかけて育て上げてるオレンジワンちゃんと、自ら志願して弟子入りした葉山ちゃんまで、逝く姿を見たくなくて思わず乗り込んで来ちゃったんだ? そんなに、逝かせたくなかったんだ~。『気高き獅子』みたいに」
緋狭様は、依然偃月刀を突きつけたまま何も言わない。
「自分が『気高き獅子』を選んだせいで、不遇のシンデレラになった『白き稲妻』の哀しむ姿を見たくなくて、あわよくば一斉解決しようと。そうか、そうか。さすがは犠牲精神の"赤"を引き継ぐことはあるね、紅皇~?」
意味ありげに、周涅は笑う。
「だけどさ、そんなことをすれば…君への罰則(ペナルティ)だけではなく、逆に皆を追い詰めることにもなるっていうの…判ってないわけではないよね、はははは~」
緋狭様は黙したままで。
「それにさ、紅皇は…『気高き獅子』を殺してしまったその嘆きを、動いた理由にしたいんだろうけどさ、それは『気高き獅子』が死んだという前提じゃない?」
私は、鳥肌が立つのを感じた。
まさか、判られているのか?
「もしも生きていたら…
紅皇の動きは、どう弁解するつもり?」
くつくつ、くつくつ。
「もしも『気高き獅子』は生きてるよって、周涅ちゃんが言いふらしたら…状況はどうなっちゃうだろうね? 葉山ちゃんの治療だけではない。折角…裏で動いていたのも水の泡だね?」
動いていた?
緋狭様が?
「今度こそ、本当に殺さないといけなくなるね。生き返らせた存在諸共。破滅させなくちゃならなくなる」
櫂様を託した久遠…
最悪、"約束の地(カナン)"ごと…破滅?
「もしかして…もうバレてて。
大変なことになっていたりして。
はははははは~」
どくん。
櫂様…!!!?