シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

元より、あたしは鏡の力を制御できない。


どういう理屈で光が出るのかも判らない状態だったのだから、どんなに頑張ってみようとも無理なものは無理。


駄目だ、このままじゃ!!!


「蓮の…この鏡を見てよ!!!

あたし、映っているでしょう!!!?

偽者なら映らないものッッ!!!」


この鏡が真偽を映し出してくれるなら。

真実のあたしが映っているはずで。


あたしの声が届かなくても、

きっと自分達の目で確認したことなら理解してくれる!!!




だけど――



「お姉さん。

語るに落ちたね…?」



鏡にあたしは映っていなかったんだ。



「ええええ!!!?」



居ない。

鏡を覗き込んでいるあたしが居ない。



「間違いないな、お前は…偽者だ」

「ようやく…捕まえられたね、司狼」


時間が…

遅く進んでいるように思えた。


ゆっくりと――


「死ねッッッ!!!」


剣が振られる。


「ばいばい!!!」


双月牙が飛んでくる。


研ぎ澄まされた刃が、大きくなって近づいてくる。


逃れられない。


腰が抜けているあたしは、

動くことが出来ない。


嫌だ。

こんな処で嫌だ!!!


よりによって…

"仲間"にやられるなんて!!!


――とにかく気をつけないと、誰かの記憶に足を掬われることになる。


久遠の声が蘇る。


同士討ちに気をつけろと…

いわれたばかりだったのに!!!



ざしゅっ。



肉が切られる音がして――


視界が真紅色に染まった。



最後に思い浮かんだのは、

泣きじゃくる…


見知らぬ小さな子供だった。


< 1,244 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop