シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
すると芹霞は困ったように笑った。
「ごめん、よく判らない。
凜ちゃんが――
誰だって?」
「俺だ。紫堂…櫂だ」
何度目だろう、俺の名を告げるのは。
俺の名前に記憶はないのか?
――ねえ、櫂。
あんなに俺の名前を呼んでいたじゃないか!!!
詰りたい気持ちと不安が胸に渦巻いて、息をするのが苦しい。
こんなに近くに居るのに、俺は男の姿をして名前を名乗っているのに。
どうして、どうして思い出さない!!?
オモイダサナインジャナイカ?
いや、大丈夫だ。
不安になるのは今だけだ。
芹霞の中の俺は生き続けている。
芹霞なら、絶対俺を思いだす。
だけど――
「凜ちゃんが男のわけないじゃない」
芹霞はけらけらと笑いだし、
「面白い冗談言うね~。
あたしは馬鹿だけど、それくらい判るから」
俺の真剣な言葉を…軽んじてしまって。
「ねえ…久涅の義弟っていうことは、玲くんの従兄弟?」
どうしてそんな、他人行儀な言い方になる?
ああ、泣きそうだ。
――芹霞ちゃあああん!!
「玲の従弟で…お前の…幼馴染だ。
12年…前か…らの…」
震える声で俺は言う。
判りきっているはずの真実を。
「12年前?」
黒目がちの大きな目が細められた。
考え込んでいる。
だけど――
「あたし、一番古い幼馴染は如月煌っていう奴しかいないけど。8年前からのね。勘違いしてない?」
――芹霞ちゃあああん!!!