シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
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「死ねッッ!!!」

「ばいばい!!」



司狼と旭くんから刃を向けられた時、

代わって刃を受けたのは――

目の前に…飛び込むようにして、

視界に入ってきた…久涅だったんだ。


あたしが受けるはずの刃は、久涅の背中の肉を鈍い音をたてて深く切り裂き、その血があたしの視界を真紅に染めた。


一瞬、脳裏に浮かんだのは…小さい子供の泣き声。



それが久涅とたぶって感じた時、



「無に還れッッッ!!!

傀儡がッッッ!!!」



そう叫んだ久涅が、司狼と旭くんの首をそれぞれ手で鷲掴むと、そのまま地面に叩き付けた。


頭が砕かれる!!!


そう思って反射的に目を瞑ったけれど…不快な音も震動も伝わってこなくて。


ちろりと目を開けて見てみれば…


そこには司狼も旭くんも無く…

代わりにあったのは、不細工な手作り人形が2体。


目が…青と黒。


稚拙な作りは、子供が作ったようなもので。


片目が青い目。


それが妙にあたしの記憶を刺激した。


あれ、あたし…何処かで…?


そう思った時には、その人形がみるみる間に消えて行ってしまい…そちらに目を奪われたあたしは、その人形に関する記憶の蘇生をやめてしまった。


魔法だ。

まるで夢のような魔法。


長剣や双月牙まで…無くなっている。


信じられない。

司狼と旭くんは…今までちゃんと生きて動いて、そしてあたしの命を狙ったというのに…。


偽者、だったのか。
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