シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

「――…その上で聞く。

お前は…それでも想いを貫き、"裏切り者"だからと正当に制裁を加えるか?

全て…なかったことにして」



玲の表情が…破裂した。


…ように思った。



やばい。

これ、本当にやばい。



「玲、玲!!?」


玲の体が冷たくなってくる。


変な汗をかいて…

表情が虚ろになっていて。


胸を掻き毟るような動作を繰り返す。



間違いねえ。



発作だ!!!



とりあえず、玲の服のボタンを外して、心臓に締め付けるモノがないようにしたけれど…。


玲は苦悶の表情で、声にならぬ声を上げて藻掻き始めた。


焦った俺から、血の気が引く。



「ワンコ…どうした?」


…未だ肩に寝そべったまま、目覚めたらしい小猿が、肩から覗き込んでいる。



「小猿…お前、小々猿でも小々猿犬でも…式…出せるか?」


俺からは震えた声しか出てこねえ。


「式? 無理。力使い果たしているから、時間がかかる…って、紫堂玲!!?」


「だったら、回復の術…何か使えるか?」

「で、出来ない…」


やばい。

本当にやばい。


とりあえず、舌を噛みきらないように、服を裂いて口に入れたけれど。


この激しい苦しみ様…どうすればいいんだよ!!?

< 1,326 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop