シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「――…その上で聞く。
お前は…それでも想いを貫き、"裏切り者"だからと正当に制裁を加えるか?
全て…なかったことにして」
玲の表情が…破裂した。
…ように思った。
やばい。
これ、本当にやばい。
「玲、玲!!?」
玲の体が冷たくなってくる。
変な汗をかいて…
表情が虚ろになっていて。
胸を掻き毟るような動作を繰り返す。
間違いねえ。
発作だ!!!
とりあえず、玲の服のボタンを外して、心臓に締め付けるモノがないようにしたけれど…。
玲は苦悶の表情で、声にならぬ声を上げて藻掻き始めた。
焦った俺から、血の気が引く。
「ワンコ…どうした?」
…未だ肩に寝そべったまま、目覚めたらしい小猿が、肩から覗き込んでいる。
「小猿…お前、小々猿でも小々猿犬でも…式…出せるか?」
俺からは震えた声しか出てこねえ。
「式? 無理。力使い果たしているから、時間がかかる…って、紫堂玲!!?」
「だったら、回復の術…何か使えるか?」
「で、出来ない…」
やばい。
本当にやばい。
とりあえず、舌を噛みきらないように、服を裂いて口に入れたけれど。
この激しい苦しみ様…どうすればいいんだよ!!?