シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

芹霞の視界を奪うように、俺は芹霞に口付けた。


何度も何度も…幾度も俺の名前を呼んだその唇に、俺の愛を注ぎ込む。

オモイダシテ。

動けないように固定して、その唇に…その首筋に、俺の印を刻む。

オレハココニイル。


ちらりと見えた血色の薔薇の痣。

俺の手と繋がる絆の気がして、紅潮して益々赤く色づく其処に、俺の愛を刻むように、甘噛みをして、強く吸い付いて。


「芹霞…」


怯えるようなその目を覗き込んで、俺は微笑む。


「その目に…

俺を…映して…」


俺が縛られたその目で、

もう一度俺を見てくれ。


俺は目を開いたまま、芹霞の唇を奪う。


だけど――。


ああ――


「やだ、嫌…玲くんっ…んんっ…玲く…嫌だッッッ!!!」


見えないんだ。


お前の目の中に俺は居ない。

お前の心の中にも俺が見えない。


オレハドコニイル?


満たされない。


何度も何度も角度を変え、

唇から愛を注いでいるのに…

お前の体の中に入らないんだ。


唇をこじ開けて、熱い吐息を入れようとしても…

するすると…零れ落ちていく。


俺の愛が、闇に溶けていく。


「玲く…玲…んんん!!!」


呼ばれる名は俺じゃない。


――芹霞ちゃあああん!!!



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