シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

「玲くん、玲くん…ねえ、聞こえる!!!?」


あたしは慌てて玲くんを抱きとめて、焦った声をかける。


悲鳴のようなか細い息遣い。

その目は焦点があっていない。


それでも虚ろな顔は紫堂櫂に向け続けて。

震える手を紫堂櫂に向けて。


「は…っ…ぐっ…か……ぃ」


紫堂櫂の名を呼んでいた。


「ごめ……ごめ…」


目からはとめどなく涙が溢れて、

その口から出るのは…苦しみの息と謝罪。


謝っている。


玲くんが…

自分を見殺しにした人に謝っている。



それが切なくて。

玲くんの心が痛くて。


あたしは玲くんを胸に掻き入れた。


「玲くん…。芹霞だよ、聞こえる?」


反応がない。



「ごめ…ん…。か…ぃ…」



酷く…妬ける。

心が焦げ付く。



「か…い……」



こんなに呼んでいるのに――

玲くんの心はあたしにはなくて。


「玲くん…」

「か……ぃ…」



だからあたし――

玲くんを振り向かせたくて。



「玲くん…好きだよ…?」


だけど玲くんからの反応は無かった。

ひたすら紫堂櫂の名前だけを呼び続けて、


「か…ぃ……ご…めん…」


泣きながら謝罪をするだけで。



あたしの声は、玲くんの心に届かない。

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