シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「そこで玲、新たな問題発生だ」


やけに慎重な声を煌は放つ。



「掛けろだの割れだの…



誰が答え出すよ!!!



玲、お前なら…」



「僕、そんなの計算できるような状況でないこと、判るだろ!!? 

久遠は!!?」


頭がいいんだろう、久遠は!!!


「紙読み始めた」

「久遠様は…計算が面倒らしい」


………。


「ボク…数学は昔から赤点組」

「俺、追試組」


「俺か? 最年長の俺がやるのか!!!?」


エンドレスになりそうな喧騒。

僕は久遠に声を上げた。


「久遠!!! 久遠の頭なら、すぐ計算出来るだろ!!!?」


「すぐ出来るなら、お前がやれば?」


かさり。


「久遠ッッッ!!!」


すると舌打ちが聞こえて。


「うるさいな…オレは知らん。そこまで面倒見切れるか」


不機嫌そうな声。


え?

僕が悪いの?



カタカタカタ…。



そんな時だった。



「皆居るの…? 

玲くん…居る?」



愛しい愛しい…芹霞の声がしたのは。



「あ、皆居た。

玲くん…此処に居たんだね。

体大丈夫なの?

何処の部屋にも居ないから…あたし凄く心配で…」


僕を…捜してくれたんだろうか。

か細い声に…僕の心が疼いた。


「ごめんね…何も言わないで来ちゃって…。

発作はもう大丈夫だ」


ああ、芹霞に振り向きたい。

だけど顔を向くことすら許されない僕。


カタカタカタ…。



「玲くん…?」



カタカタカタ…。



「何やってるの? ゲーム?」


振り向きたい。


「ごめん、今ちょっと手を離せなくて…」


芹霞を抱きしめたいのに。


ああ、このワンコが居なかったら。

呪わしいこのワンコ!!!


だから僕は…。



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