シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
顔を上げられない。
僕はきっと醜い顔をしているだろう。
嫉妬に醜く歪んでいるはずだ。
こんな顔を見せたくはないんだ。
これは――
僕の矜持。
真実の言葉は…
偽りの記憶を打ち消すだろう。
真実に勝る愛はない。
それは世の摂理。
だから僕は――
真実に負けない愛が欲しかった。
そうした愛を作ろうと思ったんだ。
僕の恋…。
どうしても…
実らせたかった僕の恋…。
情けなく醜くも…
芹霞に縋って諦め切れなくて。
散らせたくなかった僕の恋…。
同じ時を笑顔で過ごす、
そんな…幸せな未来を夢見て、
もがいてあがいて――。
苦しんで悲しんで…
だけどそれ以上に君が愛しくて溜まらなかった。
君が欲しくて仕方がなかった。
その為に、僕の可愛い従弟の心を踏み躙(にじ)り、君の心にある真実の愛を穢して。
それでも、僕は君が諦められなかった。
だけど――
君が真実愛しているのは櫂。
――紫堂櫂を愛してる!!!
僕じゃない。
ねえ…。
少しでも、僕のこと…
"男"として好きになってくれたのかな。
前より、ほんの少しでもいい。
僕を異性として見てくれたかな。
頑張ったんだよ、僕。
本当に我武者羅に頑張ったんだ…。
流されるままに生きてきた僕が、
初めて自分から求めたのは君。
諦めたくないと思ったのは君。
君は…
僕の初めての"女"なんだ。
僕の永遠だ。