シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
このままでは、久遠が玲くんに押し勝ってしまいそうだ。
だからあたしは――
「ねえ、久遠。せめて皆に挨拶をしていきたい…」
「オレが言っておく」
あたしの意向を、久遠は断固拒否する。
どうして此処まで頑(かたく)なに、帰そうとするのだろう。
「でも…」
嫌な予感がするんだ。
このままヘリに乗ったら、後悔するような…そんな予感が。
ナニヲ?
ダレニ?
「運命の環は動いているんだ。
だから…行け、せり」
「何か…やだ。
今生の別れみたいな気分で…」
「そんな別れにしたいのか、せりは」
あたしはぶんぶんと、頭を思い切り横に振る。
「せり、また――
"約束の地(カナン)"に来い」
久遠は、そう言って――
「5日後――
オレに会いに来い」
微笑んだんだ。
綺麗な綺麗な…天使の微笑。
――大丈夫か?
それはあたしが久遠に初めて会い、恋したあの美しい笑顔で。
――煩いな、黙れよ。
いつも無表情で…
つんとすました顔のあの久遠が――
優しく、柔らかに…
誰もを魅了する微笑みを。
それが何故だか…
酷く心が締め付けられたんだ。