シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「ねえ…あたし、

まだ"約束の地(カナン)"に居たい。

久遠ともまだ一緒に居たい!!」


思わずあたしは、久遠に抱きついた。


いつもなら――…


――離れろ、せり!!!


どこまでも拒絶して、あたしをとことん突っぱねる久遠が、


「せり、約束は出来ないのか?」


あたしを、身体でくるむようにぎゅっと抱きしめて。


「約束はする。だけど…」


そして体を離すと、間近で久遠が…優しく優しく微笑むから。

らしくないことをするから。



だからあたし――

不安が拭えなくて。


久遠の手を両手で掴んで、妖麗な顔を…じっと見つめた。



すると久遠は――



「せり、笑っていろよ」



逆にあたしの手を引いて、

あたしを引き寄せると――



「!!!!」



頬に、唇を当てたんだ。



少し震えた冷たいその唇に、

あたしは涙が止らなくて。



「これくらいいいだろ、紫堂玲。

嫉妬深い男は、嫌われるぞ?」



そんな笑い声の後。



そこに居たのは――


「不細工面を見せるなよ、せり。

これ以上顔を崩してどうするんだ?」


いつものオレ様久遠。



少しかちんときたけれど、それ以上に――



まるで…夢のように思えたんだ。



優しい久遠の姿が――

あまりにも…儚げで。



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