シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「ところで、玲」
向い側に座った久涅が手を伸して、玲くんの服を指差した。
「久遠が渡した青い紙を見せてみろ」
口早に、そう言ったんだ。
「これは…氷皇からの…」
「念の為だ。親父殿と共に見たい」
あたしは…玲くんから緊張を感じ取った。
「でもこれは――」
玲くんが渋るのは何故だろう?
見せたくない何かが…書かれてあるのだろうか。
蒼生ちゃんの暗号を隠れ蓑にして。
多分、そんなことを思ったからこそ、久涅は手紙を見せろと言っているんだろうと思う。
どうするの、玲くん…。
「よろしいではありませんか、玲様」
重い空気を斬ったのは、淡々とした口調の桜ちゃんだった。
「胡散臭いその手紙に、お忙しい玲様がいつも振り回されている事実、当主にも見て頂いては?」
はっきりと意見する桜ちゃんに違和感を感じたけれど、その通りだとも思う。
蒼生ちゃんが用意したもの以外に何も書かれていなければ、だけど。
「桜もそう言っている。寄越せ、玲」
玲くんは…震える手で、ズボンのポケットから畳まれた青い手紙を取出し、
『アイするレイクンへ』
そんな宛名が書かれた封筒ごと、久涅に渡した。
毟り取るように久涅はそれを奪い、封筒の中から一枚の青い紙を取出して、そのタイトルにちらりと目を通す。
「何だ、これは…請求書?
お前、氷皇に借金をしているのか」
そう鼻でせせら笑うと、興味がないとばかりにそれを床に落とした。
そしてもう一枚の…暗号が書かれているらしい紙を、当主と長く見ていて、やがて面白くなさそうにそれを玲くんに投げ渡した。
「つまらん。お前…こんなことをして遊んでいるのか」
「遊んでないよ!!! 何で皆して僕を暇人のように!!!!」
玲くんが即座にいきり立つ。
本当に蒼生ちゃんが嫌いらしい。
その紙を覗いてみたら…漢字が沢山ありすぎて眩暈がした。
これは初めて見る…最新の暗号文のようだ。
「玲くん、これ…また解くの?」
「これはもう解き終わったものだ」
玲くんは溜息をついて紙を破る。