シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


そして芹霞が、まるで他人事のように…僕の過去を聞いてきた。


微笑みすら浮かべて僕の言葉に耳を傾ける芹霞に、僕は次第に苛つき始めたんだ。


全然、気にしている様子もない。

特別扱いされているって気づいていない。


"運命"の相手は僕ではないとみなし、お互いの相手の出現を待ちわびる芹霞に――僕の中で何かがぷちんと音をたてた。


僕は、僕の望んでいない形で芹霞に大切にされているのは判っている。

芹霞には悪気はないことも判っている。


だけど、僕の…芹霞に対しての想いは"恋愛感情"。

1人の"男"として、"女"の芹霞を求めている。


切実に…恋い焦がれて苦しいくらいに。


僕は、芹霞を抱きたいんだ。

それは決して、暖かな…包み込むような家族愛じゃない。


もっとどろどろとして激しいものだ。


僕だって、"男"なんだよ、芹霞。

独占欲と嫉妬に苛まされ、君だけを欲しているんだ。


君からの…僕だけの、"女"の愛を欲しているんだ。


僕は、芹霞以外と進む未来なんて欲しくない。


狭い車内で僕を意識してくれたのに、芹霞にとっては…未来に結びつかないって事?

僕がどんなに芹霞が恋しいのか、判っていないって事?


過去、僕は想いを伝えてきたつもりだ。


だけどそれはいつも一過性で終わり、長くは芹霞の心には留まらない。


それでも我慢していたのは、そういう状況なのは僕だけじゃなかったから。


櫂も煌も…同じだったから。




だけど――



――紫堂櫂を愛してる!!!



今は状況が違うんだ。
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