シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 


同期――。


「まさか…」


消えたZodiac。


――この大画面に逃げちゃってたりして。


力が使えず消えた玲様。


「何だかね、玲くんとニセモノのあたし…別会場でやってたオンラインゲーム大会に出てたみたいだよ。"軍神"と闘っていたんだって」


軍神…遠坂由香か!!?


彼女も…櫂様の居る"約束の地(カナン)"にて無事だったのか。


ゲーム大会…。


「軍神は棄権して優勝した玲くんは、あたしと一緒にふらふらと会場後にした処まで目撃されているんだけれど、その後行方不明」


ゲーム大会で、何か起こったのか?


棄権?


遠坂由香が?


ありえないと思った。


彼女の気性上、"逃げる"ことはしない。

更に言えば、常に"瞬殺"らしい玲様の攻撃に、棄権の余裕すらないはずで。


玲様との対戦で、何かあったのか。


遠坂由香に聞けば、何か判るかもしれない。


私は携帯を取り出したが…躊躇った。


恐らく…私から発信される電波は監視されている。


ゲーム…。

大画面…。


画面の中には何が拡がっている?


それは――


「もしや…」


0と1だけで織りなされる――

電脳…世界。


玲様の力も"同期"して、力を相殺できる――

玲様にとって強みであり、弱みでもある世界。


もし玲様が電脳世界の力を使えず、逆にその力に縛られていたら?



もしも――

いつもと"逆転"した環境に居たら?



電脳世界の――

力の糧となっていたら?




その時――


「桜ちゃん、糸…糸が!!!」


煌を縛る糸が…ぶちぶちと切れる、


そんな不穏な音がしたんだ。


< 354 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop