シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


ゆらゆら、ゆらゆら。


仕方ねえから、そのまま寝かしてやっている。


ゆらゆら、ゆらゆら。


腹立たしい程、熟睡だ。


言うことはご大層なくせして。

殴る時は全力で来る癖に。


絶対戻れねえ覚悟で居た俺を、

強制的に連れ戻した――最強女の妹。


子供みたいに単純で。

大人みたいに妖艶な…


俺が惚れる…唯一の女。



ゆらゆら、ゆらゆら。



本当に手のかかる女だ。


だけど――


本当に温かい女だ。



俺を見捨てない。



最高に――愛しすぎる女だ。



泣けてくる程。



「腹立たしいね…」



そう言ったのは――

腕組みをして俺を睨み付ける白い王子様。



「その腑抜け顔…」



そう殺気さえ飛ばしているのは――

俺とペアルックの…



「別の服だ」



ペアルックにも思えねえこともねえ…似たような服を着た、小さな警護団長。

< 396 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop