シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
ゆらゆら、ゆらゆら。
仕方ねえから、そのまま寝かしてやっている。
ゆらゆら、ゆらゆら。
腹立たしい程、熟睡だ。
言うことはご大層なくせして。
殴る時は全力で来る癖に。
絶対戻れねえ覚悟で居た俺を、
強制的に連れ戻した――最強女の妹。
子供みたいに単純で。
大人みたいに妖艶な…
俺が惚れる…唯一の女。
ゆらゆら、ゆらゆら。
本当に手のかかる女だ。
だけど――
本当に温かい女だ。
俺を見捨てない。
最高に――愛しすぎる女だ。
泣けてくる程。
「腹立たしいね…」
そう言ったのは――
腕組みをして俺を睨み付ける白い王子様。
「その腑抜け顔…」
そう殺気さえ飛ばしているのは――
俺とペアルックの…
「別の服だ」
ペアルックにも思えねえこともねえ…似たような服を着た、小さな警護団長。