シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 

「あ?」


こいつ――

何て言った?


「ねえねえ、『気高き獅子』ってどんな人? 同じ歳なんだって? あんた今まで全然仕事の話してくれなかったから…全然あたし判らない」


「芹霞!!!? 櫂…だぞ?」


俺の声が震えた。


「ん?」


「"ん?"じゃねえよ!!! 櫂だぞ、櫂!!! お前のよく見知った…「煌ッッ!!!」


怒鳴ったのは玲。



「芹霞は…櫂の記憶がない」


それは…震えたような声で。

芹霞に聞こえない程、小さな声で。


俺は…眉間に皺を寄せるしか出来なかった。


まるで…こそこそと隠そうとする、らしくない玲に。


ああ、それよりも――


櫂。


「何で…だよ。何でよりによって櫂を…」


櫂は…どうしたんだ?


どうなったんだ?


――死んじゃったんだって?


何で…玲が次期当主になってるんだ?


まさか。


おい、櫂の切り札…まさか失敗に!!!?



桜が低い声で言った。


「煌、その件は後で教えてやる」


きょとんとした芹霞の横、俯き加減の玲の陰鬱な表情に…俺はごくんと唾を飲み込んだ。


何だよ、どうしたよ、玲。

何でそんな…罪悪感に満ちた顔をしてるんだよ!!?


お前が…"お試し"を決行するのと関係があるのか!!?




そんな時。



「「「!!!?」」」



瘴気が異常な早さで膨らんだんだ。


かつて無いほどに。


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