シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「13日以内、せりが!!!?」
突然久遠は荒く立ち上がった。
激昂の紅紫色の瞳。
「由香!!! そんなこと一言もメールに書いてなかったじゃないか!! せりが命狙われて大変だとしか!! そんな具体的に宣言されていて、何で此処にせりを連れてこなかったんだよ!!? 何で放っておくんだよ!!!」
「ひいいいい!!?」
遠坂を怯えさせた後、そして俺の胸倉を掴む。
「紫堂櫂!!! 救済されるべはお前じゃなくて、せりじゃないのか!!!?」
射殺すかのように、剥き出しな紅紫色の瞳を投げつける。
そうだよ。
判っている。
誰よりも俺が判っている。
「お前、何で此の地で安穏として…せりを放ってるんだよ!!!」
だから…俺は約束してもらったんだ。
――約束、して欲しいんだ。
「何で人任せでいられるんだよ!!? お前は…蘇ってもまだ!!
お前は――"約束の地(カナン)"の外の世界で、生きれる身分じゃないか!!!」
判っている。
判っているんだ久遠。
「焦れよ、何でいつもの仏頂面でいられる!!!?
お前は…せりを守りたくないのか!!!?
それとも守れないだけか!!?」
判っているんだ!!!
俺は、久遠を手で突き飛ばして、パソコンに打ち込む。
『あいつらが、芹霞を守ってる』
俺は…信頼できる奴らに託したんだ。
俺が…芹霞をなんとも思ってないって?
俺が保身の為に芹霞を犠牲にしたって?
俺が芹霞を人に頼んで平気でいるって?
ふざけんな!!!
バアアアンッッ
俺は机に拳を叩きつけて、久遠を睨みつけた。