シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
あたし今、何を考えていたんだろう。

何を口走っていたんだろう。


真剣な鳶色の目が向けられている。



「何も…思い出すな」



怯えたような光が浮かんでいる。


そして玲くんは、シートベルトを外して、あたしを抱きしめてくる。

身体に伝う震えは誰のものなのか。


「お願いだ。僕のことだけを考えて?」


結婚しちゃう癖に。



「僕を…想って?」



結婚しちゃう癖に。



「僕は…永遠に君が好きだよ?」



結婚しちゃう癖に。



「僕に…君の永遠を頂戴?



僕はずっと君の隣にいるから」



嘘つき――。


嘘つき――。





< 469 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop