シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
そんな中での"お試し"。
煌や桜にしてしまった…結婚話。
同情されたいわけではない。
ただ、こんな中で続行させようとしてる"お試し"には、意味があることだけを判ってもらいたかった。
1人で戦ってきたその現実問題は、
口に出すとただ辛いものでしかなく。
そしてまた――
芹霞を手に入れたいのは、僕の昔からの望みであるのに…まるで結婚を忌避する為に芹霞を手に入れたがっているように…そんな状況に置かれているように思えて、僕は悲しくなった。
結婚話がない状態で、僕は芹霞と"お試し"したかった。
ゆっくり、僕のペースで。
色々…考えていたんだ、僕だって。
こんなおかしなことに巻き込まれていない、安穏とした中で…僕は、そんな"お試し"を望んでいたのに。
周囲からじわじわと攻め立てられているかのように、ただ無駄に時間が過ぎている気がして、僕は焦るばかりで。
何とかしないと。
自分で何とかしないと。
常に…不安は付き纏っていた。
芹霞を手に入れただけで本当に終わるのか。
僕は本当に愛のない結婚をしなくても、
愛のない子供を作らなくてもよくなるのか。
ウンメイハカワライナインジャナイノカ?
芹霞を手に入れれば、破談になる可能性が強まるからと淡い望みを抱き…櫂を裏切った罪悪感を正当化していたのは、否めない事実。
これは僕の闘いだ。
僕が何とかしなくては。
ダケドソレダケデオワルノ?
"何でいつも自分で背負い込む?"
煌の言葉は、その橙色のように鮮烈で。
眩しかった。
勝手に嫉妬に囚われ遠ざけようとした狭量の僕とは対照的に、あいつは広い心で僕を丸ごと受け入れようとしてくれた。
何も言わない。
芹霞を奪うな、とは。