シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
――――――――――――――――――――――――――――……

僕は――

ハンドルに突っ伏した。



隣では芹霞が眠っている。



「どうしよう…」


僕のタイムリミットは近づいてきている。



"お試し"の時間も。

芹霞の…"心"の蘇生も。



元々、車に入った時から芹霞の様子がおかしかったんだ。


僕に何かいいたげに見つめていて。


それは愛の言葉なんかじゃないものは判った。


折角芹霞と仲直りできて、これから頑張ろうとしていた矢先、それは不可解すぎるもので。


車の中に1人残していたことに怒ってるの?

煌と桜と勝手に別れたから怒ってる?


色々思い浮かんで、溜まらなく焦る。


それとも僕の態度が悪かったんだろうか。

"紙袋"、遮ったのが気に障っていたんだろうか。


判らないけれど、とにかく優しく笑顔でいるようにした。


そして、突然向けられた"結婚"の話題。


気づかれているのか?


どきりとする胸押さえて、僕は笑っていた。


気づかれているのか、思いつきか…そこら辺は微妙だった。

にこやかな笑顔で聞いてきたから。


芹霞のいない未来なんて語りたくない。

だけど芹霞のいる未来なら。


ああ、なんて幸せだろうね。


ねえ…もし君に僕の結婚を言ったら。

君はどう反応するの?


結婚しないでって言ってくれる?

離れたくないって叫んでくれる?


それとも…


今みたいな笑顔で、祝福されてしまうのかな。


違うね。


きっと…優しい君なら僕を慰めてくれるんだろう。

他人事のように、同情されて…。


同情だけは、されたくないんだ。


僕が芹霞が好きなのは、結婚とは関係がないから。

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