シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
――玲くん…"お試し"してて、楽しい?


それは…

芹霞は…楽しくないってこと?


きゅっと胸が締め付けられる。


――玲くん…あたしを置いていかないでよ…。


「まさか…櫂のことを思い出そうとするなんて…」


きっかけは僕のことだったはずだ。

僕と終わってしまう危惧だと思った。


僕と離れたくないと言っているのだと思った。


それで終わっていれば、僕は悦んでいただろう。


勘違いして笑顔になっていただろう。



だけど、違う。


――永遠の愛を頂戴よッッッ!!!


僕から見出されていたのは、忘却した記憶。


君が櫂に望んでいた、永遠の愛。


それは…僕に向けてのものじゃない。


僕は何?

必死に頑張ろうしている僕は何?



僕の中に流れる櫂の血が、

君だけを求める櫂の血が。


君の恋心かき立てるのなら。


ああ、それでもいいから、

芹霞を手に入れたいと僕は思った。


見栄も体裁も矜持も全て投げ捨てても、
――紫堂櫂を愛してる!!


僕が選ばれていないと知りながら、芹霞の絶叫を貰えるだけの心を欲しくて仕方が無い僕は、身代わりでもいいからと芹霞の愛を欲する。


櫂への嫉妬と羨望と…その起因となる芹霞の"心"を一身に僕が受けたくて。


記憶が目覚めぬ前に。


例え櫂の身代わりでもいいから…

僕は芹霞を手に入れたい。


時間が迫っている。


櫂の記憶が蘇れば、きっと芹霞は僕の愛を拒む気がするから。


その前に。

その前に。
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