シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「櫂は…知ってるのか、
芹霞の心」
桜は…躊躇いがちに頷いた。
「そう……か。
喜んで…るだろうな、櫂」
痛い。
心が痛い。
「12年――…
一途だったものな、芹霞に」
張り裂けそうなあまりの痛みに、
心が千切れて無くなりそうだ。
「俺なんか…恋心に気づいたのは、少し前なのにさ。
12年も…ずっとひたすら芹霞を想い続けてきたもんな」
苦し過ぎて、息が乱れてくる。
ああ…
――あたしを信じなさいッッ!!!
芹霞。
芹霞…。
――大好きだって言うこと、信じなさいッッ!!
「ああああああああ!!!」
俺は、身体を仰け反りながら声を上げた。
ぐしゃぐしゃに髪を掻き毟る。
俺の想いが。
堪えていた愛情が。
消えて無くなりたくないと狂騒する。
俺の血を逆流させるかのように、滾らせる。
嫉妬。
嫉妬。
選ばれなかった者の辿る結末は。
嫉妬による…負犬の遠吠えにしかならない。
ああ、溢れるんだ。
消えるどころか強くなる。
消えない。
消したくない。
芹霞への恋心が暴れる。
膨れあがって…俺の身体を壊しそうに大きくなって。
俺が中から――
壊れていきそうだ!!