シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

「お前のおかげで、芹霞さんや櫂様は苦しんだ。

ならば、お前も十分苦しめばいい」


辛辣で…だけど理解に苦しむ言葉。


「え? いやだから…」


贖罪とは…俺が芹霞から引くことで。

だけどそれが出来ねえから苦しいのであって。


苦しめということは、想い続けろということか!!?


いつものようにばっさりと斬らずに…

想い続けてろっていうのか!!?


「お前は芹霞さんに"引く"ことは宣言したようだが、

想いを消すとまでは言ってないだろう」



確かに――

"諦める"とは言ったけど、"忘れる"とは言ってねえ。


「だけど、桜…それは…」


屁理屈。


お前なら、すぐ俺にそう言い返す類のものだぞ?



「煌。今の状況で…誰も喜べる者はいない。

お前同等…それ以上に苦しんでいる者達がいる」



桜は、腕組みをしながら俺を見据えた。


黒い瞳に何かが燻り、揺れていた。

そこで俺は、桜もまた苦しみ惑っていることを知る。


桜はきっと認めようとはしないだろうが、目の前で、その現場を目撃した桜も玲も…誰も彼もが苦しみに藻掻いているのだろう。


芹霞を愛するが故に。


「苦しいのは…お前だけじゃない。

自分だけと思うのは…罪故のことではなく、

子供の駄々。ただの我儘だ。


――甘えるな」



俺は…思わず俯いた。
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