シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

「玲様には望まぬ結婚話まである。

当主の命令は絶対的だ。


芹霞さんの為だとは言え…櫂様の記憶を奪った玲様が、櫂様の安否が不明な状況で"お試し"を決行せざるをえない程追い詰められている。


櫂様と自分の狭間で…

外部的環境の犠牲になっている玲様は…

"お試し"が出来て幸せだと思うか?」



どくん。



「それでもお前は…

自分だけの"不幸"に酔い痴れるか?」



目が霞むほどに痛むのは…

――…一体、誰の心?


俺か?


櫂か?


芹霞か?


玲か?


それとも…


そう思うことで、平静さを装う…桜か?



ああ、俺はやはり愚鈍だ。



「私がお前に話したのは――

そういう理由だ。


今は自分がどうの…

私達はそんな悠長な"私情"にかまけてられない。


玲様すらも身動きとれない悪条件が取り巻いているのなら、私達が何とかしないといけない。


その為には、どんな状況にも揺れない確固たる堅固な心が必要だ。


私達は互いに出来ないことを補いながら、

一刻も早く団結しないといけないんだ。


それが――…」


――約束、して欲しいんだ。


櫂の意志。
< 537 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop