シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「玲様には望まぬ結婚話まである。
当主の命令は絶対的だ。
芹霞さんの為だとは言え…櫂様の記憶を奪った玲様が、櫂様の安否が不明な状況で"お試し"を決行せざるをえない程追い詰められている。
櫂様と自分の狭間で…
外部的環境の犠牲になっている玲様は…
"お試し"が出来て幸せだと思うか?」
どくん。
「それでもお前は…
自分だけの"不幸"に酔い痴れるか?」
目が霞むほどに痛むのは…
――…一体、誰の心?
俺か?
櫂か?
芹霞か?
玲か?
それとも…
そう思うことで、平静さを装う…桜か?
ああ、俺はやはり愚鈍だ。
「私がお前に話したのは――
そういう理由だ。
今は自分がどうの…
私達はそんな悠長な"私情"にかまけてられない。
玲様すらも身動きとれない悪条件が取り巻いているのなら、私達が何とかしないといけない。
その為には、どんな状況にも揺れない確固たる堅固な心が必要だ。
私達は互いに出来ないことを補いながら、
一刻も早く団結しないといけないんだ。
それが――…」
――約束、して欲しいんだ。
櫂の意志。