シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
ああ――
馬鹿過ぎる駄犬の単純思考を読むとすれば…
自分が芹霞さんを嫁に迎えたい。
その資格がないのは判っては居るけれど、
隣に自分以外の男を立たせたくない。
そんな処だろう。
眉間に深い皺を刻んで、色々思い悩んでいるようだが…その悩みは、罪だ穢れだ贖いだ…その類のものとは少し違うのだろう。
そして私は――
煌らしくもなくあんなに深刻に思い悩んで覇気が無くなるよりは、無謀な夢を追い続けていつも通りの脳天気さでいて欲しいと思ってしまう。
ああ――
私も煌の馬鹿さに感染してしまった。
情けない。
「…桜、頼みがあるんだ」
突然思い詰めたような面差しで、煌が立ち上がった。
「もう…これしか方法がねえ」
…何を考えたのか。
ロクなものでもないだろうけれど。
そして――
何故か煌はピースサインを私に向けて。
「携帯で写メを撮ってくれ。
画面だと判らないようにして、
俺が隣になるように」
至って真剣な顔。
「結婚写真にしちまえば、強制力…「あるわけねえだろッッ!!!」
回し蹴りだ。
「え、でも…証拠に…「なるわけねえだろッッ!!!」
連続技で、正拳突き。
「でも欲しい!!
芹霞のあの姿、俺欲しいッッ!!」
潤んだ目で強請(ねだ)る姿は、まるで我儘な子犬だ。