シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「だけど、幾ら"偽装(フェイク)"とはいえ、敵を安心させるためだとはいえ…緋狭は容赦ないな。まあ、だから…お前はこの地に来れたのだろうけれど。
お前がこの地に来たのは、お前の策略ではない。
緋狭の導きだ。
だけど――…
お前を蘇らせたのはオレなんだから、報酬…忘れるなよ」
どうして、俺の感動を…邪念で塗り潰す!!
何て無粋な男だ、こいつは。
俺が引きつった顔をした時、蓮がくすりと笑った。
「そんなこと言って…久遠様。紫堂櫂が目覚めないと慌てられて、連夜徹夜してまで、各務の古文書ひっくり返して勉強なさ「何、戯言を言うんだ、蓮」
「久遠様は、せりかちゃんの"すーはーすーはー"の大事な石を使ってかいくんを「黙れ、旭」
ああ、もう疲れた。
そして今更のように周囲を見渡せば…
俺がいるのは…冷たい地面の上。
地面には奇怪な幾何学模様が描かれていて。
本当に怪しい術をかけられていたらしい。
体を起こそうにも、力が入らない状況だった。
遠坂が言った。
「此処で知ったけれど…紫堂の死体があがったらしい。だけどそれについてボク達は関知してないんだ。誰が…そんなことをしたのか。
その死体があがって、初めて君は…目論見通り"死者"になったんだ。
だけど、師匠は――」
遠坂は、八の字眉になる。
その表情から…
俺は想像がついてしまった。
玲はきっと――
「言ってやれ、由香。
紫堂櫂は、紫堂玲に肩書きを奪われたと」
――約束、して欲しいんだ。
やはり…次期当主になったか。
思うのは、事実に対しての認識のみ。