シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


僕の目にぼんやり映るのは、テレビを放映する画面。


ようやく次の中継に移り、横浜のビルを撮影しているようだ。


芹霞が映っていないならこんな番組興味はない。


本当は…全国規模で芹霞の綺麗な姿を見せたくなかった。


芹霞の外見だけを初めてみただけの癖に、知った顔で"僕の愛する花嫁"を語る男ゲスト達に、殺意が芽生えたけれど。


――氷の次期当主が生出演とはびっくりでしたね。

――流石はこの番組だ、話題先取り。いやあ…びっくりしましたね。


番組まで"びっくり"の連呼。


――氷の次期当主は笑うんですねえ。いやあ、びっくりです。

――羨ましい、溺愛の恋人と結婚なんて。彼のファンが泣き叫びそうです。


もっともっと僕を羨望しろ。


僕は芹霞以外を許容しない。

他に付入らせる隙を与えない。

他の女など絶対認めない。


僕は最後まで足掻いてやる。


例え滑稽だと笑われても。


――AHAHAHAHA~.



「びっくり…びっくり…」


芹霞はずっと考えていたようだ。


「何がびっくりなんだろう???」


びっくり…。


吃驚。

驚愕。

仰天。

動転。

動揺。


感嘆もそうか。


「………」


………感嘆?


「ちょっとよく見せて!!?」


僕は青い手紙を芹霞から奪い取った。


――ある。

地味に混ざってある。



「芹霞、"びっくり"とは

――感嘆符のことだ!!」


僕は叫んだ。

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