シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


『本日は時間を延長したスペシャル番組にてお届けします。

さて、"約束の地(カナン)"と繋がりました。若林キャスター聞こえますかぁ?』


そして切り替わったのは…

今や見慣れた"約束の地(カナン)"。


中心部の時計台付近に、人気女性アナウンサーがマイクを持って話している。


背景でヘリの音がしている以外、特に変わった様子もなく。


久遠の了承の元での撮影か!!?


『皆さ~ん。着々と準備がされていますよ~。シークレットゲスト出現まであと30分!!! 中継までお楽しみにお待ち下さいね~』


シークレットゲスト?


『それだけじゃないですよ~。大人気"約束の地(カナン)"では、シークレットゲスト以外にも、このスペシャル番組用に様々なイベントを用意して下さっているんです』


イベント?

久遠…何をしようとしている?


『うわ~、何でしょうか。凄く愉しみですね~。おや、若林キャスター。何か後ろにちらちら見えますが…?』


ちらちら。


例え一瞬とはいえ――

それは僕の脳裏に刻み込まれた。


ちらちら。


あの存在感ある寸胴。

迫力在る大きなあの顔は――




『ふふふ。ちょっとだけお見せしちゃいましょう。


実は――


王子様がいるんで~す』



そこに現れたのは――



「何あれ、何あれ~ッッッ!!!!」



過剰反応した芹霞が画面に飛びついた。



「玲くん、玲くん、玲くんッッ!!!

あれあれ、あれって…

○△※◇□!!!!?」



言葉を成さない芹霞の心を構成しているのは、興奮に属する"感動"だろう。


だからこそ――



『"約束の地(カナン)"のイメージマスコット、


"クラウン王子"……』



ぶちっ。


僕は画面の電源を落とした。



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