シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「玲くん、何で、ねえ何で!!?」

「芹霞。あれは夢だよ、君の願望の夢」


ありえない。


「そんなことないよ!!! 玲くんも見たでしょう!!?」

「見てない。僕何も見てない」


ありえないよ。


僕は顔を引き攣らせながら、頭を横に振って大いに否定した。


「見たよ、可愛い王子様見たでしょう!!?」

「見てない。僕が見た可愛いものは君だけだ」


ぶんぶんぶん。


僕は頭を左右に振り続ける。


「あたしなんかより何十倍も可愛い王子様、見たでしょう!!?」

「見てない、見てない」


ぶんぶんぶん。


「可愛いの、見た!!」

「見てない!!」


ぶんぶんぶん。


可愛いのは、芹霞だけなんだってば!!!


僕が見たのは――

化け物(クリーチャー)だ!!!


「夢じゃないもの。すんごく可愛いの、動いていたもの!!!

"約束の地(カナン)"にあんな可愛いキャラクター…久遠、…久遠ってば…なんて趣味がいいんだろ。見直しちゃった。久遠と趣味合うな、あたし」


芹霞は胸の前で両手の指を組んで、とろけた顔。


「久遠大好「わーわー!!!」


馬鹿みたいに慌てて騒ぎ立てた僕は、そして手で芹霞の口を押さえてしまった。


「んーんー!!!」

「わわわ!!!」


やめてよ、簡単に僕以外の男に好意を口にしないでよ!!!

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