シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 

「美女の競演で目の保養にはなるけれど…混沌だね」


遠坂は爆笑した。


が、その笑いも段々と空笑いになってきて。


「なあ…これから、何が起きるんだろう」


遠坂は固い声を出した。


遠坂の異常なまでのテンションは、不安さを隠すものだったらしい。


気持ちは判る。

今、全てが中途半端なまま…謎だけが増えているんだ。


「久涅は"約束の地(カナン)"で何かをしようとしている。じゃなかったら、わざわざこんな場所に来て、久遠に警告発した上で此処に居座らないよ。それじゃなくても勝手に消えたデータ、師匠からの警告、尋常じゃない数のヘリ…。

久遠がひっかかっている資料は…まだ探し出せずにいるまま、何がどう起きるか想像つかない癖に、何か起るだろうことが想像ついている現状。

中継中に何かが起るのか、中継後に何かが起るのか。それとも中継前に起きてしまうのか…。

師匠が警告を発してくれたのに…意味が判らず対抗策もたてれやしない」


"電脳世界に気をつけろ"


どう気をつけろというのか。


電脳世界から攻撃があるとでも言うのか?


玲でさえ、その世界の力を"借りる"に留まるという未知なる異世界。

そこにあるのはただの0と1の数字のみ。


0と1の攻撃とは何だ?


玲のような力が放たれるとでも言うのか?

それとも…東京でのように、全ての電気の力が使えなくなると言うのか?


玲が芹霞と共にテレビに出ていたということは、玲はゲームの…電脳世界から逃れられたということ。


それだけは安心出来たけれど、そこで何かを見たのだとすれば。


玲は…何を告げようとしたんだ?

本当に玲からのメッセージなんだよな?




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