シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「頼る…ねえ…?」
あたしは苦笑した。
「たまには…男に依存してみろ。どうだ、俺は」
時々…ふっと甘くなる瞳。
彼の困ったことは、13年前の…初恋だけしか経験したことのない恋愛初心者のあたしに、こうしてすぐに色恋沙汰に結びつけてくること。
お節介焼きなのか、からかい好きなだけか。
「久涅なら綺麗な女の人は選取り見取りでしょ。こんな小娘は、ハードルが高すぎます」
そうあかんべをすると、久涅は笑うんだ。
「まあ…取り付くシマもなかった"前"よりは、よっぽど気分はいい」
時々意味不明で。
"前"
あたし、久涅とこんな話したっけ?
「お前は今、依存したい男はいるのか?」
不意に――
久涅の顔が真剣なものになる。
「依存したい男? いないね」
そう笑うと、久涅は嬉しそうに満足そうに笑う。
何かむかっときてしまったけれど。
「依存って…そんなの、いつかは関係が重くなって終焉を迎えてしまうじゃない。あたしは、そんなのは嫌だ。いつでも対等でいきたい」
そう言うと、久涅は大笑いをする。
「では俺とも…終焉がない関係になりたいということか? それとも、俺なら依存してもいいということか?」
一瞬――
怖いくらいの光が横切って。
「……。終わってしまう関係は嫌だ。もっと仲良くなりたいと思う。あたし久涅が好きだもの」
そう素直に言うと、久涅はあたしの後頭部に手を置いて、あたしの額を床に押し付けた。