シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「な、何!?」
何とか首を捩って久涅を見ると――
久涅の耳がほんのりと赤くなっていて。
「何、あんた照れてるの!!?」
思わず大笑いしたら、
「見るな!!!」
人って…見掛けで判断出来ないね。
「どうして…お前は予想外なことばかりしでかすんだ!!」
何だか小声でぶつぶつ怒っていた。
もしかして久涅は、人から好感を持たれたことがないんだろうか。
あたしは――
ふと、思った。
「――なあ、出かけるか」
ふいに久涅がそう言って、あたしの頭から手を離した。
「出かけるってどこに?」
「何処に行きたい?」
凄く…優しい目だった。
穏やかな空気が、あたし達の間に流れる。
「お前の行きたい処に、連れて行ってやる」
外出なんて…この5日間考えてなかったあたしは、
「神崎家」
そう言った。