シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「さあ――
『白き稲妻』。
遊びはお仕舞いだ」
突然――
歪んだ笑いを浮かべた凱。
「こんな玩具を、"武器"として配給されたのは屈辱…でしたが」
そして変わる口調。
「ごきげんよう。お久しぶりですわね」
僕には判る。
凱の力も威力を増したとならば――
凱より力が勝る雅は、更に力を増したということ。
その証拠に――
威圧感が大きい。
「随分と…特訓したようだね。
感電による火傷はなかった?」
笑いを顔に浮かべて僕が言うと、雅は口元で笑う。
「ご心配ありがとうございます。傷一つありませんわ、お陰様で。それに…特訓など必要ありませんわね。
一定期間でも…"その時だけ"力を増強できればいいだけですから」
僕は――
桜が緋狭さんに持たされたという薬を思い出した。
かつての制裁者(アリス)の施設を復興していた緋狭さん。
自分で潰したはずのものを、何故蘇らせたのか。
そしてそれは氷皇も知る処で。
「知らぬ者が使えば、ただの免疫亢進剤。
ひと時――市場に出回っていたらしいですわね。
『風邪薬』として」
風邪薬?
それは…
「即効性だけに群がって…そしてまるで薬物中毒のように…活力増強剤として活用始める愚かな人間共。その開発目的や成分が何であるかも判らずに…」
ふふふふふ。
多分…『ジキヨクナール』なんだろう。
え?
風邪薬の液体版で、芹霞があの大きな偃月刀を振り回したの?
風邪に有効な成分だけで構成された薬ではないことは確かだろう。
一体…
それのもつ"意味合い"は何だ?