シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
「ふふふふふ、出来るのなら!!!」


雅が金環手を大放出した。


「この金環手の猛威を防げるというのなら!!!」


広がる白銀の力は、結界と化して他の制裁者を消してはいる。


生存する制裁者(アリス)は、100人もいない。

その数が更に減じるのは目に見えている。


しかし何故か――

金の環を消滅させることは出来ない。


特殊な理由でもあるのか。

雅は、僕の力が届かない絶妙な距離を保って、金の環を繰り出した。


襲い掛かる金の環。


直接的に環に力が及ばせられぬ僕は、力で制裁者(アリス)を制しながら、同時に体術で金の環の攻撃をかわし、あるいは手刀で弾いていく。


カラン、カラン…。


虚しい音を立てて、制御をなくした環は地面に転がり落ちる。


呆気なく――。



「ふふふふ、まだまだありますわ」



カラン、カラン…。


何でだ?


強化されたはずの鉄環手が、

何故こんなに呆気なく弾け落ちる?


雅が余裕の顔なのも気になった。


投げられては僕が落として…


何でこんな…子供が遊ぶような…。



その時。



「――っ!!!!」


ずん、とした大きな痛みが胸を襲い、僕の体はくの字型に折れ曲がる。


発作の前兆。


息が…本格的に乱れてくる。

僕の指を皮膚に食い込ませながらも、僕は金の環を弾き続けた。


単調な所作でも…発作という危機的状況下にいる僕にとっては、深刻な…重い動作となる。


「随分と…苦しそうですわね?」


カラン、カラン…。


「唇の色が変わってますわよ?

ああそれは臓器の問題ではなく…

傷の失血が起因しているかも知れませんわね?」


カラン、カラン…。


「もう…飽きてきましたわ。

そろそろいいでしょう」


雅は動きを止めた。


そして――

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