シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
何でそんな驚くことあるんだろう。
「勿論。俺車好きだし」
ボンドカー限定で。
あと他の車はさっぱり判らねえ。
俺は、ボンドカーを運転したいんだ。
「試験があるんだぞ?」
「運転なら、玲のとかじっくり見させて貰ったし。ゲーセンでもばっちりだし」
初めてのバイクだって乗れたんだし、問題なんて…。
「筆記テスト…受けねばならないんだぞ?」
筆記テスト…。
脳天に雷が落ちたような衝撃だ。
「何で、運転するのに筆記テストが必要よ!!?」
必要ねえだろう、筆記なんて!!!
「道路標識の知識確認だの、法律の問題だのあるだろうが」
「標識!!? んなもの、前の車の真似すりゃあいいし、信号の色覚えれば十分だろう!!! 青ならアクセル踏めばいいし、赤になればブレーキ踏めばいいんだろ!! 法律? 何でそんな常識問題に、法律がしゃしゃり出てくるんだよ!!!」
そう言うと、
「非常識なお前は車に乗る資格なし!!!」
桜に言い切られた。
「桜~。俺が免許取ったら、助手席に…」
「いらん、いらん!!! 絶対嫌だ!!!」
「ワンコ~!!! 何で葉山を助手席に乗せるんだよ!!」
俺達は三者三様喚いた。
俺がもし免許を取ったら。
女は芹霞しか助手席に乗せたくねえ。
あいつだったら、
――ボンドカー!!!
目をきらきらさせて喜ぶだろう。
あいつ以外、隣に置きたくねえ。
そういう点においては、俺も玲の心が判る。
そんな平和な日が来るんだろうか。
――芹霞さんは…
ほのぼのとした未来が…
――櫂様を選ばれた。
この俺の元に。
俺は、握った拳に力を入れた。