俺様専務とあたしの関係


章人は、あたしの頬に軽く触れた。


「再会した時から思ってたけど、少し痩せたな。指輪、サイズが合わなかったらヤバイなって思ったけど…」


あたしはゆっくりと、その手に左手を重ねる。


「ほら、指輪に当たるでしょ?分かる?ピッタリだよ」


「ああ。分かるよ。美月、それは結婚するまで、ずっとはめていてくれるか?」


「当たり前じゃない。章人が贈ってくれた、大切な指輪だよ?本当にありがとう」


「美月…」


章人はあたしの名前を呼ぶと、強く抱きしめた。


「美月がいいと思った時でいいから、また一緒に暮らそう。オレは、もう離れているのが寂しいよ」


「うん…」


本当は、今すぐ一緒に帰りたいくらい。


だけど、それじゃこの半年間も、章人と別れた意味もなくなってしまう。


あたしだって寂しいけれど、ちゃんと気持ちに整理をつけなくちゃ。


抱きしめ合った後、ゆっくりと離れたあたしは、まだ疑問に思っている事を聞いたのだった。


「ねえ、蒼衣さんは誰と結婚するの?」


てっきり、章人とヨリを戻したんだと思っていたのに、違ったのよね?


「ああ、蒼衣は秀二と結婚するんだよ」


「秀二さんと?でも、婚約を破棄したんじゃなかったの?」


「したよ。美月と別れた後、オレたち話し合ってさ。それで、出た結論。蒼衣はもう一度、秀二とやり直す」


そうなんだ…。


今さら蒸し返しても仕方ないけれど、本当にいいのかな?


そんな不安に気付いたのか、章人はあたしの頭を軽く叩きながら言ったのだった。


「蒼衣は、やっと気付いたんだよ。より、自分を愛してるのは誰かって」


「より誰が愛してくれているか?」


「そう。そしてオレも気付いた…」




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