俺様専務とあたしの関係
「絢~。やっちゃった」
お茶くみも終わり、あたしたちは会議が終わるまでの少しの間、自由な時間が出来たのだった。
なかなかこんな時間はない上に、懐かしい同期が一緒で、すっかり話に花が咲いていた。
“会議の間、一条に仕事を教えてもらえ”
の専務命令をいいことに、あたしは社長秘書室に居座っている。
「でもお陰で、会議のピリピリムードもなくなったみたいだし良かったんじゃない?」
笑いを堪えながら、絢はあたしに“秘書マニュアル”を渡してくれた。
これは、絢特製のもので、秘書業務の注意点が書いてあり、コピーをしてくれたもの。
「ありがとう。だけど、きっと専務に叱られるわ」
その厚いマニュアルを受け取りながら、あたしはため息をつく。
「大丈夫よ。それよりどう?章人専務は?」
笑顔を浮かべながら、絢はあたしの顔を覗き込んできた。
「どうって…。絢も分かってると思うけど、かなりクセがあるわね」
「そうかぁ。まだ知り合って一週間だもんね。そう思うのも仕方ないか」
絢のその言葉に、あたしはあたしは引っ掛かった。
「違うの…?」