不良の有岡について。

幼稚園から出て、子供と並んで歩く。

…これから、どうするんだろう。

私じゃなく、この子供だ。

あんな母親と、汚い部屋と、買ってきた弁当と、迎えにきてもらえない寂しさ。

そんな、自分じゃ力の及ばない物に落とされて、どこかで躓いてしまうんだろうか。

手にするりと何かが絡まった。見てみると、子供の手。

寒い冬なのに、生暖かかった。

ぐずぐずと泣く声が聞こえて、立ち止まる。


「何に泣いてるの?」


私は子供があまり好きじゃない。

ぶっきらぼうな言い方が悪かったのか、何も答えずに泣き続ける。



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