愛してるなんて言わせない
「恋華。
すまなかった。」
「なんですか、いきなり。」
今起きたことじゃない。
もう5年も前の出来事なのに。
「お父様はこの5年、なにを思ってお過ごしになったかは存じ上げませんが、
あたしはこの5年、ずっとお母様のことを考えて生きてきました!!」
「…。」
「あたしは、あたしはっ…
お父様を許そうと思ったときは一度もありません!!」
「お母様はどんな思いでっ…」
涙が出そうだった。
必死に堪えようとした。
でも溢れた涙…。
「失礼しますっ!!」
そう言って走って部屋に戻った。