ショコラ~愛することが出来ない女~


「……ほら、食べなさい」

「あ、うん」


自分でも答えが思いつかなかった。
なってみないと分からない、が正直なところだ。
それでも今は、一人よりは誰かと居る生活を選びたかった。


「男と女って色々あるわよ。詩子も何か困ったら相談しなさい。隆二くんよりは役に立つと思うわよ」

「あはは。確かに」

「それに仕事の事も」

「え?」

「もし、詩子が今と違う仕事がしたいって思ったなら、いつでも私のところに来なさい。
いくらでも支援してあげる。

あの人のところに居たら、『ショコラ』から抜け出せないでしょう?

今回のフラッペと同じような事がこれから何度も起こる。
詩子はそれで納得できる?
自分のアイディアを人に作られ続けて納得できるの?」


私の言葉に、詩子は表情を変える。
笑っていた顔はこわばっていて、言葉を捜すように口がパクパクと動いた。

それを見ながら、自分自身に苦笑する。

今更、何母親ぶってるんだろう。
自分でも情けなくなる。

詩子を隆二くんのもとへ渡したのは、自分の欲の結果でもあったというのに。

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