ショコラ~愛することが出来ない女~

 その日、家に帰ると明かりがついていなかった。
いつもだと、新妻のように庄司くんが出てくるのに、なんて思う時点で私の方が男のようだ。


「仕事たてこんでるのかしら」


山雑誌はマイナーなだけに買うお客さんの目は肥えてる。
書き方一つとってみても、今まで庄司くんが作ってきたものとは違うだろう。
その辺りに、おそらくは苦戦しているのだ。

部署が替わると慣れるまでが大変。それは自分自身が経験してきたことだから良く分かる。

【今日は来る?】

一応、メールで確認。
するとすぐに返事が来る。

【ごめん。立て込んでて無理かも】

【いいわ。気にしないで】


いちいちごねるような面倒な女になるつもりはない。
さらりと流して、自分の夕食を考えよう。

 冷蔵庫を覗き、久しぶりにあるもので自分で料理する。

私はどちらかといえば不器用だ。
一応、一通りの家庭料理は作れるけど、盛り付けや彩りのセンスはあまりない。
お皿にのった野菜炒めをみて、ため息がでる。

庄司くんが作ってくれる料理もまあ盛り付けは気取ってはなかったけど、それでも人の作ってくれたものってのはおいしく見えるもんだ。一人飯は寂しい。

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