ショコラ~愛することが出来ない女~
ぺろりと舌を出して指先を舐める。
私の考え込む時の癖。
すると机に珈琲が置かれた。
顔を上げると、長井ちゃんがにこにこして立っている。
「おはようございます。編集長お腹すいてます?」
「……なんで?」
「今舌舐めずりしてたので」
「あはは。そうね。おいしそうなものを見てたのよ」
「へぇ、見せてください。……って、何だこれエクセルじゃないですか」
「そうよ」
自然に笑みが浮かびあがる。
中々おいしいわよ? この資料は。
調理のしがいがあると言おうか。
不思議そうな顔で席に戻って行く長井ちゃんを横目で見つつ、そのコーヒーを一口含んでもう一度舌なめずりをする。
「上出来」
一言つぶやいてキーボードに向かい、早速とメールを返信する。