ショコラ~愛することが出来ない女~
「……あー」
ディスプレイを前に行き詰る。
考え方としては間違っていないと思うけど、だからどうしたらいいかって言われると思い付かない。
「ここは若い子に聞いてみようかしらねぇ」
一呼吸入れて、詩子にメール。
【詩子元気?
今日仕事は何時まで?
夜に会えないかしら】
詩子は、2年前に調理専門学校を卒業して、今は隆二くんの経営する喫茶店『ショコラ』の正式なウェイトレスとして働いている。
「折角調理師免許まで取らせたんだから、調理の方させればいいのに」
なんてこっそり口出ししてみたこともあるんだけど、隆二くんはそこは譲らなかった。
あの人にとって、『ショコラ』は元妻以上のもの。
自分の夢の結晶。
詩子の気持ちがどうでも。
私の意見がどうでも、取り合ってはくれない。