〜☆恋愛学園物語☆〜(学園編)
薄暗い階段を登り、
外から雨音がしている。

「大丈夫ですか?
菜月さん…
ここで…休みますか?」

リク君は、
一番上に迄登らず、
階段の途中で壁に手を
付きながら、私を待つ。

「ごめんねっ…、
私下駄だから…、
ちょっと下駄ズレしたみたいでっ…」

足が下駄で、
少し擦り剥(すりむ)き、普通の靴に履き変えたいと思った。

「僕の背中に乗せてあげられた…らっ…」

小さな声が時計台に響く、でも
余りにも小さくて何を言ったか聞こえない。

「あのっ…リク君…、
カノンさんの事どう思うかなっ…」

リク君の顔は少し薄暗くて見えないでも、
少し間を感じた。

「あっ…あのぉどうして
カノンさんの事を聞くんですか?
僕は…菜月さんの事が…、気になります。
僕には無い、
優しいお姉さんのような…あなたが。

カノンさんは、
僕と少し似てますでも、
僕は…ごほっ…」

リク君の傍に着くと、
リク君は少しふらつき、
急に階段に座りこんだっ。どこか様子がおかしく
急にうづくまり…。

「リク君…」

リク君の額(ひたい)を手で触ると、
かすかに熱く感じた。

「もしかして…熱…えっ…」

リク君は私の背中に手を回し“ぎゅっ”と、
抱き締めて来た。

「僕は…菜月さんの事が…」


“バタン…”

リク君は、急に回していた手から力が抜け
意識がもうろうとしていたのか、
そのまま真横に寝そべる形で階段に横たわってしまった。

「うっ…」
額(ひたい)から汗を流し目を閉じたまま、
動かないリク君を見て。

私は、学園の警備の方ではなく、
リョウ君に来てもらい
運んで貰うことに。



< 107 / 303 >

この作品をシェア

pagetop