〜☆恋愛学園物語☆〜(学園編)
「待って…この声…かりんちゃん!」

ゆうや君が、
奥の部屋に目をやると
部屋の奥から確かに子供の声がしていると、
ゆうや君が気がつく。

「菜月さんは危ないから
先に…」

私はゆうや君の声を聞かずに、いつの間にか走っていた。

「ニ‐ナ!」

私は、聖霊を呼び出し
扉に近づく。

扉のドアノブを掴み
中に…。

ギィ‐っと音と共に
縛りつけられた、
かりんちゃんが泣居ている。

「にぃいちゃぁ〜」

部屋に入るとかなり暑かった。

私の横を走って横切り、
ゆうや君がかりんちゃんを抱き抱え、
私の方に走って来る。

「菜月さん早くっ!」

私の手を掴みゆうや君が
走りだす。

「…ゆうや君」

炎に包まれ、煙で周りが見えない。

「こっち…」

ゆうや君は、さっき入って来た入り口の方角を
覚えて居たのか、
急いで外に出る。

「はぁはぁ…」

息を切らし、
燃えさかる炎の建物が
またたく間に燃え
学園の土の中に埋められてあったホ‐スで
炎が消化された。
「かりんちゃん…大丈夫?今縄を解いてあげるから」
私は、かりんちゃんに
結ばれた紐を解き、
自由にさせてあげた。

「おねぇちゃあ〜ん」

かりんちゃんは、
私に抱き寄り泣いていた。
「…」

ゆうや君は、その姿を見て少し複雑な顔をしている。
「ゆうや君ありがとう、
かりんちゃん助けてくれて」

私は立ち上がり、
かりんちゃんの手を握り、ゆうや君と歩きだす。

「その子…誰?」

ゆうや君は、かりんちゃんの事を知らないのか
なぜか聞いてきた。

「誰って…ダイキ君の…」
私は言い掛けた事を辞める。

「?菜月さん…」

「人形姫の館でほらっ…会ったじゃ無い」

ゆうや君が女の子に近づく…。 「…この子はっ…」

「…ダイキ君の子供
ゆうや君?」

ゆうや君は、少し複雑な顔をした。

「そう言えば…ダイキ君はどうしたの?
ハルキの部屋に居なかったけど…」

ゆうや君の顔が、
真っ直ぐ向けられる。

「にぃちゃぁ…」

半べそをかき、かりんちゃんが泣く。 「…きょ…今日はありがとう…」

私は、自分の部屋にダイキ君が居る事を
言えなかった…、
少なくてもゆうや君に言っても問題があるわけじゃ無いけど。

ゆうや君は、少し寂しげな顔を向けて居る。

「…」

私は、ゆうや君に隠し事をしてしまった…。

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