俺は笑った
それからの数日間、俺は学校でユキと話さなかった。話せなかった。
ユキの前で笑っていられる自信がなかったから。

あっという間にユキが学校に来る最後の日。ユキと会える最後の日になってしまった。
俺は、最後はちゃんと自分の気持ちを伝えて、見送ってやろうと心に誓った。
そんなことを考えていたら、家を出なければいけない時間をかなり過ぎていた。

学校に着いた時には遅刻ギリギリ。
まだ先生がいないことにほっとする。ぱっとユキの席に目をやるがユキもまだ来ていない。

するとチャイムが鳴り、先生がやってくる。先生は暗い顔をしてこう言った
「今朝、ユキさんが交通事故で亡くなりました」
頭が真っ白になった。クラスのみんなは泣いていたけど、俺は涙が出てこなかった。心にぽっかりと穴があいてしまった感じだった。

次の日、1通の手紙が届いた。ユキからだった。
意味がわからなかったが、手紙をそっと開く。そこにはこう書かれていた。
「遠く、遠く離れても、君のことを忘れないよ。今までありがとう。私は、君のことが大好きだよ。」
おそらく昨日の朝、俺宛に出したのだろう。
「バカ…」
涙が止まらなかった…
声を出しておもいっきり泣いた…

そして、俺は笑った…
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