咲き舞う華は刻に散る


「私に指図をするな、泉羽」



桐生は冷たい瞳で彼女を見下ろした。



投げられた猪口は泉羽の額に直撃し、破片と化す。



猪口の砕けた破片で切れた彼女の額から血が伝った。



しかし、その傷はすぐに塞がってしまった。



そう、泉羽も鬼なのだ。



本当の鬼となれば、痛みを伴うことなく、怪我が完治してしまう。



それが気に食わないのか、桐生は顔を引き攣らせた。






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